【LIVE REPORT】台湾と日本が一体となったCHTHONICジャパン・ツアー

CHTHONIC

JAPAN TOUR 2019

2019年2月13日(水)渋谷CLUB QUATTRO



 台湾メタルの雄、CHTHONICが5年ぶりの日本ツアーで熱演! 渋谷CLUB QUATTROに集結したファンを熱狂させた。


 東京・大阪でのジャパン・ツアー初日となるこの日、まずはゲストのSEX MACHINEGUNSが登場。5曲、30分足らずの短いステージだったが、随所で「CHTHONIC最高!」「ウォーミングアップだ!」と、CHTHONICに向けての盛り上げ役を買って出ていることを強調。特にベースのSHINGO☆は台湾と日本のダブルで、かつて台湾でのフェスではドリス・イエのピンチヒッターを務めたこともあり、つながりも強い。ラストの「GERMAN POWER」もサビを「CHTHONIC POWER!」と歌うなど、CHTHONICファンを温めまくった。


  CHTHONICのライブは8時近くに開始。客席右手のスクリーンにバンド・ロゴと映像が映し出され、メンバーが登場すると、フロアを埋めた観客は早くも大歓声。約5年ぶりの東京公演(昨年、単発の北海道公演はあったが)は前作に当たる「武徳(Bu-Tik)」からの「Sail Into The Sunset's Fire」でスタートした。



 序盤からボーカルのフレディ・リムが観客を煽りまくりつつ熱唱。ただ、ジェシー・リューのギターとドリスのベースの音が若干弱く感じられる(その分、ダニ・ワンのドラム、CJ・カオのキーボードはよく聞こえ、特に1曲目などで盛り込まれたダニのマーチング・リズムを含むドラミングの正確さは堪能できたのはよかった)。だがそんなバランスも、ステージが進行していくにつれ気にならなくなった。


 開始と同時に、フロアでは来日を心待ちにしていたファンによるモッシュピットが発生。もうみんな最初から大暴れである。5th「Mirror Of Retribution」からの「Forty-Nine Theurgy Chains」、最新作「政治=阿修羅の戦場(Battlefields of Ashura)」の「A Crimson Sky's Command」と、快調に飛ばしていく。


 この後のMCではフレディがまずはSEX MACHINEGUNSに感謝の意を表し、台湾と日本の「特別なつながり」に言及。そしてポケットからスマホを取り出すと「ドレダケ、イキカタガ、カワッテモ、メタルガ、オレタチヲ、ツナゲテルコトハ、カワラナイ!」と日本語を披露。大きな歓声が起こった。



 日本でも人気の高い6th「Takasago Army」から2曲、最新作から1曲を披露すると、再びMCに。ここでもフレディは台湾と日本のつながりについて話し、国会議員でもある自らの政治活動にも言及。そして再びスマホを取り出すと「ドンナ、コンナンモ、オレタチノ、ユウジョウデ、ノリコエラレル」との日本語にまたも喝采が寄せられた。


 その後はもっとリラックスした話題も。翌日のバレンタインデーのことに話が及ぶと、観客の視線がドリスに集中! フレディがドリスに「何か言ってよ」と振ると、大“ドリス”コールが発生!(もしかしてこの夜一番の一体感!?) ドリスが照れくさそうな表情を浮かべつつも「アイシテマス!」と言ったものだから、男性ファンのほとんどは昇天したのでは? また結婚したばかりのジェシーが妻に感謝の言葉を述べ(フレディは「CJと結婚したんじゃなかったの?」とからかっていたが)、観客が祝福。するとフレディが「ハッピー・ムードを邪魔してゴメン! 次は荒っぽい曲なんだ」と演奏に戻り、セットは後半へ突入していった。



 この日のセットリストは、「Takasago Army」の曲が6曲、最新作の「政治=阿修羅の戦場(Battlefields of Ashura)」が5曲。最新作の曲が多いのは当然だが、それ以外からは4曲(「Mirror~」から1曲、「武徳」から3曲)のみということも考えると、「Takasago Army」が彼らにとってどれだけ重要か、また日本のファンが同作を好んでいることを彼らがどれだけ理解しているかが伝わってくる。


 それがよく表れたのが、終盤の展開だ。「Takasago Army」からの名曲「Broken Jade」では歓声がひときわ高くなった。スタジオバージョンでは玉音放送も引用されるこの曲を生で聞くのはやはりある種の感慨がある。そして次に最新作から「Flames upon the Weeping Winds」を演奏すると、フレディはこの5年ぶりの新作について説明し始めた。いわく、「この5年間にメンバーそれぞれ、いろんな経験をして、いろいろと状況も変わった。その中で日々のさまざまな思いを曲にしたんだ」と。そして三たびスマホを取り出すと、「コノアルバムハ、イイオトナガ、ピュアナハートデ、ツクッタンダ。ダカラ、キイテクレ!」。この言葉に、新作への彼らの思いが凝縮されているようだった。


「日本のファンは『Takasago Army』が好きだよね」ということで、次の曲は再び同作から「Oceanquake」。演奏の激しさとともにモッシュピットはさらに大きくアグレッシブになり、「Defenders of Bú-tik Palace」へと雪崩れ込んで本編は終了。もちろん観客はこれで帰れるわけもなく、「CHTHONIC」コールの大合唱! そしてあまり間を置かず、メンバーがステージに戻ってきた。が……ドリスがいないままフレディのMCが始まる。やがてフレディがドリスを呼び込むと……ウサギの帽子をかぶってドリス登場! 超大歓声! その声に応えて耳をピコピコするドリス! もう最高(笑)。フレディは、バレンタイン当日となる翌日の大阪ではもっとファンにプレゼントがあるというようなことを言っていたが、何か起こったのだろうか?


 フレディは「次は5年も経たないうちにまた来るよ」とまたうれしい言葉を発し、ファンを喜ばせる。「5年後には、俺は大統領になってるからね」とも宣言! 台湾にメタル大統領が誕生する様はぜひとも見たい! 「少なくとも政治家としてもっと高い位置にいるはず。東京には来年、いや、できれば今年の終わりにでもまた来たい」とも。いやホント、すぐまた来てください!



 アンコールは最新作から「Taste the Black Tears」、そして「Takasago Army」から「Takao」へとつないで爆走! 観客も最後の大暴れを見せ、熱狂のうちに約90分のステージは終了した。


 彼らのMCやステージングに、「誠実なバンドだ」という印象を強く持った。世界情勢が決して安定しているとは言えない中、日本とのつながり、自らの政治活動について分かりやすい英語で説明するフレディ。文中で紹介した日本語のフレーズを見ても、彼らがファンとのつながり、日本との関係をとても大事にしていることがよく伝わると思う。演奏も誠実そのもので、尻上がりにスピード感と荒々しさを叩きつけつつも、複雑な展開にも決して雑にならない点に実力を感じさせた。


 観客には欧米人らしい姿も、そしておそらく台湾であろう、アジア系外国人の姿も多く見受けられた。彼らの誠実なプレイと言葉によって、台湾も日本もその他の国も関係なく、集まった全てのメタルファンが一体となった夜であった。



CHTHONIC JAPAN TOUR 2019

2019.02.13 Shibuya Club Quattro, Tokyo

Setlist

1 Sail Into The Sunset's Fire

2 Forty-Nine Theurgy Chains

3 A Crimson Sky's Command

4 Legacy Of The Seediq

5 Southern Cross

6 Millennia's Faith Undone

7 Souls of the Revolution

8 Supreme Pain for the Tyrant

9 Quell The Souls In Sing Ling Temple

10 Broken Jade

11 Flames upon the Weeping Winds

12 Oceanquake

13 Defenders of Bú-tik Palace

~Encore~

14 Taste the Black Tears

15 Takao


TEXT by Keizo "Eddie" Takasaki, Chief Editor / 高崎”エディ”計三編集長

PHOTO by Same / さめ



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1コメント

  • 1000 / 1000

  • BilliamHMS

    2019.02.18 07:11

    すいません、1曲目はBu-Tik収録のSail into the sunset's fireです。。。