1989年1月22日に“ONE”のミュージックビデオがプレミア公開されてから30周年を迎えた。1980年代はMTV誕生以来PVを作ることはプロモーションの必須手法であったが、頑なにこの潮流に乗らず独自路線を貫いていたメタリカが遂に!と当時大いに話題になった。そしてそのビデオには特別な重みがあった。
ドルトン・トランボによる映画『ジョニーは戦場に行った(原題:Johnny Got His Gun)』(1971)のシーンをベースに曲とストーリーが進行していく。ビデオ全体を覆うモノトーンがシリアスさを増長させる。当時はカラフルでコミカルなPV演出が全盛を極める中、いわゆる“MTV的”とは真逆を行くビデオの内容に圧倒された。そして考えさせられた。後にも先にもこんなに1本のPVを集中して見たことはない。METALLICAの違いを教えられた気がした。
日曜の深夜番組『PURE ROCK』でこのビデオを初めて“目撃”したときの衝撃が、その後私にとってMETALLICAというバンドを特別な存在に昇華させた。
トランボの原作小説を探して買って読んだ。録画した“ONE”のPVを何度も見返した。セルビデオ『2 of ONE』収録のジャミングバージョンにもしびれた。パスヘッドのアートワークに惚れた。日本企画盤『ONE』が自宅のメタリカコーナーに加わった。“ONE”のビデオ公開を機に、METALLICAへの能動的な行動が活発化した。
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